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NEC IX 2015で IPsec通信 (VPNトンネル) がすぐに切れてしまう件

実は最近、友人と IPsecを使用したVPNトンネルを友人宅と接続して、CIFSでファイル共有したりしているのだけど、かなりの頻度でブチブチとトンネルが切れていて、どうしてなんだろうといろいろとIPsecについて調べていた。今回、なんとか原因がわかったので備忘録もかねて公表したいと思います。

ここでの原因判明は、NECの IXシリーズに共通することです。ほかのネットワーク機器メーカーでは当てはまらない場合があります。あらかじめ、ご注意ください。

いきなり結論を書こうとしたんだけど、かなり頭がこんがらがっちゃうので一般的な知識として IPsecの通信がどのように行われているのかを簡単に書くことにする。

IPsec SAと IKE SA

IPsecはプロトコルやポート番号などによって複数の暗号化方式や暗号鍵、セキュリティプロトコルを使用することができる。この際、実際に通信で使用され双方で共有するパラメータを SA (Security Association) と言い、このSAには IPsec SAと IKE SAの2つがある。それぞれのSAには寿命があり、寿命が尽きる前に鍵を更新する必要がある。

またそれぞれのSAは使用されるフェースが異なり、それぞれにフェーズ1,フェーズ2を経て、通信が行われる。
以下に各フェーズで行われることを自分なりにまとめてみた。

フェーズ1 : IKE SA

  1. IKEプロトコル同士の認証と暗号交換を行う。(ISAKMP SA交換)
  2. この際に使用するプロトコルとポートがUDP 500番。
  3. あらかじめ用意した pre-shared keyを使用して相手を認証する。
  4. あらかじめ用意した暗号化方式 (3DESなどでパケットを暗号化する。
  5. そしてそのパケットの改ざん検知にハッシュ(MD5など)を使用する。

フェーズ2 : Ipsec SA

  1. IPsecSAを確立するために鍵の交換を行う。(IPsec SA交換)
  2. この際も使用するプロトコルとポートは UDP 500番。
  3. IPsec SAの鍵として使う乱数をInitiatorが送信する。
  4. それを受け取ったResponderがAckを返し、InitiatorがAckを返すと、鍵の承認が終了。
  5. パラメータ(SA更新間隔など)の交換。暗号化方式、ハッシュ方式、AH/ESP、TP/TNモードの決定が行われる。
  6. IPsec SAが確立される。ここまでに作成したIPsec SAを使って、実際の暗号化通信が行われる。

IPsec SAと IKE SAの寿命(更新サイクル)

フェーズ2での処理で重要なものに、鍵の有効期限の更新がある。キュリティ上、同じ鍵を使い続けるのはパスワードを変えずに使い続けるのと同じ事で、ましてやインターネット上にトンネルを貼るわけだから、非常にリスクが高い。

そこでIPsecでは ReKey と呼ばれる処理を行なって、暗号鍵を自動的に更新する。キーの有効期限は、IPsec SAを確立してからの経過時間で設定でき、これを超える前に新たなIPsec SAが確立される。

それぞれに時間が決まっており、これはメーカーによって異なる。NEC IXの場合、

  • IPsec SAは60秒
  • IKE SAは30秒

になっている。
(普通はもっと長いような気がしますが・・・。)

IXで IPsec通信を行う上での問題点(というか仕様)

これ、本当にまいった。通常 IPsec SAと IKE SAではそれぞれにライフタイムがあって、通常であればこのライフタイム終了前に自動的に更新が行われ、ユーザーは継続してセキュアな通信を行うことができる。

ところが、NEC IXの場合、IPsec SAが生成されてからトンネル上でパケットが流れていない場合、前述の IPsec SAの更新をしないという仕様になっているため、60秒以上なにもパケットが流れない無通信状態が続くと、IPsecの通信が行われなくなり、結果としてVPNトンネルがダウンしてしまう。

何度か友人と試していて、頻繁にVPNが途切れてしまうので、何が悪いんだろうと設定事例集などを読み直しても何も書いていない。ほとほとまいってNECのサイトを見たら “Q.1-11 IPSec SAが常に存在する状態に維持したいのですが、方法は有りますか?” というのがあって、これだ!と思い投入してみたらビンゴ! :mrgreen: 以下の設定を投入したら、全然切れなくなりました。

IPsec SAを消失させない方法

この機能を使うにはネットワークモニタを使用する。あらかじめ、接続先ピアのIPアドレスを調べておくことが必要になるので注意。うちの場合だと、友人のIXのトンネルインターフェイスのアドレス 172.16.0.254 を設定している。従って、enable-config に入って、

watch-group host 10

ウォッチグループ(host)を作成します。

event 10 ip unreach-host 172.16.0.254 Tunnel0.0 source FastEthernet0/1.0

ホスト監視の宛先、出力インタフェース、送信元インタフェースを設定します。

probe-timer restorer 60

robe-timer variance 60

ホスト監視の監視周期を設定します(デフォルトは5秒)。

network-monitor host enable

ネットワークモニタ機能を有効にします。

で設定完了。

通信が正常に行えていなかったりする場合、show tunnel status というコマンドを使うけれど、各SAレベルでトラブルシューティングしたい、という場合には以下のコマンドを使用する。

フェーズ1 : show ike sa

Router(config)# show ike sa
ISAKMP SA - 1 configured, 1 created ←コンフィグ作成数/IKE SA生成数
Local address: 10.0.0.2 ←トンネル始点アドレス(出力インタフェースアドレス)
Peer address: 10.0.0.1 ←トンネル終端アドレス(ピアアドレス)
IKE policy name is ike-policy ←IKEポリシー名
Direction: Initiator ←ネゴシエーション開始側/受信側
Exchange type: Main mode ←モード:メイン/アグレッシブ
Auth method: pre-shared ←認証方式:事前共有鍵
Enc algorithm is 3des ←暗号アルゴリズム
Hash algorithm is sha1 ←認証アルゴリズム
DH group modp768, Life time is 28795 seconds ←DHグループ、ライフタイム
State: establish ←ネゴシエーションの統計情報
#ph1 success: 1, #ph1 failure: 0
#ph1 hash err: 0, #ph1 timeout: 0, #ph1 resend: 0
#ph2 success: 1, #ph2 failure: 0
#ph2 hash err: 0, #ph2 timeout: 0, #ph2 resend: 0

フェーズ2 : show ipsec sa

Router(config)# show ipsec sa
IPSec SA - 1 configured, 2 created ←コンフィグ作成数/IPSec SA生成数
Interface is Tunnel0.0 ←トンネルインタフェース名
Key policy map name is ipsec-policy ←IPSecポリシー名
IPSec mode: Tunnel (4-over-4) ←トンネルモード
Local address: 10.0.0.2 ←トンネル始点アドレス(出力インタフェースアドレス)
Remote address: 10.0.0.1 ←トンネル終端アドレス(ピアアドレス)
Outgoing interface: FastEthernet0/1.0 ←出力インタフェース
Interface MTU: 1446, Path MTU: 1500 ←トンネルMTU
Key type: Autokey ←SA生成方式(手動/自動)
Inbound
ESP SPI: 0xd7b5139d(3618968477) ←受信用SPI(SA識別番号)
Transform: ESP-3DES-HMAC-SHA-96 ←暗号/認証アルゴリズム
Remaining key lifetime is 3592 seconds ←ライフタイム
Replay detection support: Y ←アンチリプレイ機能の起動/停止
Outbound
ESP SPI: 0xbd4d7590(3175970192) ←送信用SPI(SA識別番号)
Transform: ESP-3DES-HMAC-SHA-96
Remaining key lifetime is 3592 seconds
Replay detection support: Y
PFS: OFF ←PFSの使用ON/OFF

今回ご紹介したコマンド投入後の観察

昨日から Expingを使ってずーっと pingバッチを流しているけど、全く切れていない :lol: スクリーンキャプチャは以下。(インターネットのゆらぎも考慮して、ring server プロジェクトにも pingを打っています。) また一歩前進したぜ。

23-29-44.jpg

参考にさせていただいたリンク

IPsec – Wikipedia

IX2000/IX3000シリーズ FAQ

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